カルティエのノウハウ:時計の針の製造

ラ・ショー=ド=フォンにあるカルティエのウォッチ マニュファクチュールには、針の製造を専門とする工房があります。針の製造工程では非常に高い精度が求められ、いくつもの重要な工程が含まれます。

時計の品質と美しさを確保するためには、切削と成形、初期研磨、固定用の穴開け、青焼き、仕上げの研磨、品質管理、梱包と保管など各工程がとても重要となります。

重要な工程の1つである青焼きとは、針を独特の青色に仕上げる加工をいいます。この工程は複雑で、針を約290-300°Cの温度で加熱します。この焼き入れの工程において、針の表面に薄い酸化被膜が作られると、針の表面が深い青色になります。温度の管理が非常に重要で、温度が高すぎたり低すぎたりすると、色の仕上がりが異なってきます。

完成した針は、傷や歪みを防ぐために専用のホルダーに慎重に入れられ保管されます。最終的に時計に針を取り付ける準備が整うまで、管理された状態で保管されます。


ミネラルガラス

マニュファクチュールのミネラルガラス工房は、カルティエの時計に独特の美しさを与える複雑な形状の時計用ガラスを製作する専門技術で知られています。

硬度と耐傷性で知られるサファイアクリスタルと比べ、ミネラルガラスは硬度の点でやや劣るものの、加工性が高く形状に変化をつけやすい特性を有しています。この素材は、Crash(クラッシュ)、Tortue(トーチュ)、Tank Américaine(タンク アメリカン)など、ガラスのカーブや湾曲がデザインの重要な要素であり、カルティエの象徴的な形状を特徴とするモデルには最適です。

製造工程の概要

「Chevage」とは、熱によるガラス成形加工技術です。ガラスを適正な温度まで加熱することで、職人がガラスを思い通りの形に曲げることができます。加熱しすぎたり急速に冷やしすぎたりすると、ガラスが損傷したり、形状が変形する可能性があるため、温度と加熱時間を管理することが非常に重要となります。

面取りは、ガラスの四辺の鋭い角部に角度のある面を施す加工です。これは、ガラスを綺麗に仕上げるだけでなく、時計の防水性を確保するためにも欠かせない工程です。実際、水やほこりが時計のケースに侵入するのを防ぐためには、完璧にフィットしたガラスが不可欠です。

ここでは職人の目が重要です。職人はカルティエが求める基準の精度でミネラルガラスを扱うため、高い専門知識と確かな経験が求められます。